【プレイ日記その5】プロポーズの意味とその先へ【牧場婚活】
公開:2020年04月25日
プレイヤーによるロールプレイで常に新しい世界が開けていく牧場婚活の世界を紹介しているプレイ日記へようこそ。筆者はいつ通りもりすかの担当だ。
前回は愛梨と親しくなってきて、意識するようになってきたが、不意に起きた彼女へのプロポーズに動揺した私がそれを邪魔してしまうと言うエピソードだった。
プロポーズをして1時間、彼女のログインを心待ちしていた。「え? なになに、あなたって私のことが好きなの? どーしよーかなぁ」みたいな、そんな甘いトークから結婚が進むと期待していた。しかし、愛梨からの返事は、身を凍り付かせる冷たいものだった。
「これは一体どういうつもりかな?」
あまりにも素っ気ない返事に目を疑う。私からのプロポーズが限りなく迷惑だったことを感じさせる。少なくとも愛梨は私に好意に近い感情を抱いてくれていると思っていた。お願いを聞いて結婚を取りやめてくれたのであればなおさらだ。
それなのに、この返事はあまりにも痛い。甘いトークのなんてどこにもなく、乾いた笑いしか浮かんでこない。心がキュッと音を立てて閉じていくのがわかる。冗談でも好きだなんて言えるような状況じゃなかった。
おそらく私は優しい愛梨に勘違いしてプロポーズをしてしまった男というところだろう。前回、フレンド結婚を諦めたのも、愛梨が優しいので話を合わせてくれただけだとするなら、私は邪魔ばかりするひどくイタい奴だ。
「どういうつもり?」なんて拒絶に似た言葉を言われてしまったのだから、これ以上傷を大きくしないためには、シャレだったとか、ノリだったとか、冗談だったとか、愛梨への気持ちを色々と誤魔化すしかない。
「い、いやあ、その、結婚ダメにしちゃったから、そのお詫びに……」
「はあ? なにそれ、気にしてないからいいよ。それだけなら断るね?」
プロポーズを受けたことなんて全く嬉しい素振りも見せず、愛梨はあっさりとした返事で断ろうとしている。やはりこれは勘違いしてやってしまった系のあれだろう。ここは突っ込むことなく、冗談だとすませておく方がいい。そう結論が出ていたのに、なぜか最速でタップして、まったく違うメッセージを送ってしまった。
「ちょっと待って!」
単純にプロポーズが断られるの嫌だったのか、咄嗟に出てきた言葉は相手を引き留めるモノ。プロポーズを断られたのが嫌だとは言え、ここで引き留めてはもう冗談ではすまされなくなってしまう。自分がなにをしたいのか、よくわからなくなっていた。自分の感情をもてあましながら、とりあえず思いついたことを愛梨に送る。
「……プロポーズがそんなに迷惑だった?」
「ん? そんなこと私、一言でも言ったっけ? 理由があるなら、ちゃんと言えば?」
今の私に一番足りないもの、それはちゃんとした理由と言葉だろう。だが、プロポーズから甘酸っぱい展開を期待していただけに、このような形で問い詰められていくと言葉なんて何も思いつかない。そもそも、私はなぜ愛梨にプロポーズなどしてしまっただろう。
レベルも高く、人望もある愛梨。どう考えても初心者の低レベルである私が手を出していいような相手ではないとわかっていたのに。そこを勘違いしてプロポーズなどしてしまったことの報いか。
だけど、このプロポーズが断られてしまったら、私はもう二度と愛梨にプロポーズなど出来るはずもない。そうなったら、愛梨は別の男性と結婚することになる。それは嫌だ。情けなくてもかっこ悪くても結婚だけはしてもらいたい。
「べ、別にラブ婚じゃなくてもいいんだ。ビジ婚やフレ婚でも……」
「うーん。軽い気持ちならプロポーズしないで欲しいかな。結婚がしたいだけなら他の人にしてくれない?」
愛梨からのがっかり感が伝わってくるような返事。なんだろう、何かを間違えたような気がする。だけど、今はそんなことを考える暇はない。冗談だと思われている現状をなんとかした方が良いだろう。
「軽い気持ちで言ってるわけじゃない。ちゃんとしっかり考えて言ってるんだ」
「ちゃんと? しっかり? どういうこと?」
また来たどういうこと。自分でもわからないのにどういうことかなんてわかるはずがない。だけど、プロポーズしたのはきちんと考えたことを伝える必要がある。
「うーん。まあ、自分の気持ちを考えて、これが一番の選択かなと思って……ゲームなんだし、楽しんだ方が良いかなって……」
「ごめん、何を言いたいのか全くわからないよ?」
ダメだ。なんとか雰囲気だけで説得してみようと思ったが、愛梨にまったく気持ちが伝わっていない。というか、これが一番の選択ってなんだよ。私自身もわかっていない。どうするどうする。粘れば粘るほど、フラれたときの惨めさが大きくなり、下手をしたら、もう二度と愛梨が話してくれなくなるかも知れない。
それは嫌だ。だけど、このままフラれたところで、愛梨にまた話しかけるコトは出来るのか。もう未来がない関係なら、ここで終わってしまってもいいように思える。だったら、言い方はひとつだろう。
「とにかく! 付きまとうような真似はしない。断られたらこのゲームやめるから、遠慮なく断って!」
「やめるって……私は断りたくないよ。断りたくないけども……」
卑怯な言い回しではあったが、やめると言えば、私の本気ぶりはわかってもらえるはずだ。これで断られるなら、本当に本アプリ「牧場婚活」はやめてしまっても問題ない。そう思っての意見だった。優しい愛梨はやはり返答に困っている。自分のせいで初心者の一人がやめてしまうのが辛いのだろう。ここはあと一歩踏み込むべきだ。
「そんな気を使ってくれなくても大丈夫だよ。もう覚悟はできた。断られても恨まないから!」
渾身の想いを乗せて送ったメッセージ、長い長い沈黙が襲う。愛梨はログアウトしてしまったんじゃないかと思いかけてたところで、ようやく返信が届く。
「わかったよ。とりあえず結婚するってことでいい? なんか違うと思ったら、それで別れればいいでしょ?」
それは僥倖だった。自分でも信じられない答えを愛梨がしてくれた。点にも舞い上がる気持ちで、震える手で入力していく。
「う、うん! いいの? 本当にプロポーズ受けてくれるの?」
「だから、そう言ってるでしょ? ……てか、私の言いたいことわかってる?」
「うん。わかってる。俺がダメなヤツだったら、速攻で離婚するってことだよね?」
「……だめだ。全然わかってないのかも……」
呆れた感じの返信が来た後、画面が切り替わり、結婚式のシーンが流れる。しょぼいグラフィック、スーファミの人生ゲームの結婚式と大差ないレベル。だけど、それでも嬉しかった。なんだか、照れくさくて、笑いがこみ上げてくる、記憶にしっかりと残る結婚式となった。
『永遠の愛を誓いますか?』
「もちろん、ね、愛梨!」
「愛を一度も語られたこともないけどね……」
なんだかよくわからないが、こうして私のプロポーズ作戦は成功した。愛梨が言っていることを本当に理解するには、今の私では圧倒的に経験値が足りないようだ。
次のエピソードへ続く >>
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後書き
手軽にプロポーズを申し込めるのも牧場婚活の素晴らしい点ではあるが、相手によっては今回の私のように激しい追及にあってしまうこともある。仲がいいだけでは成功しないかと思えば、友だち同士やクエストのためだけに手軽に結婚を繰り返す人もいるのが本作の魅力。初めてのプロポーズは現実世界よりも緊張すること間違いなしだ。
様々な疑似恋愛が楽しめる牧場婚活を、あなたもプレイしてみてはいかがでしょうか?
本ページにて使用されている画像はすべて『ASKISS CO.,LTD.』に帰属。
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