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【プレイ日記その4】彼女のプロポーズ騒動【牧場婚活】

公開:2020年04月21日(最終更新:2020年04月27日)

みなさん、こんにちは、筋書きのないドラマが堪能できる牧場婚活の世界へようこそ。
アプリビレッジのもりすかだ。

前回はぷっつん女紗理奈によって、全板に晒されてしまうというとんでもない事件を乗り越えた。もともと仲が良かった愛梨ではあったが、この事件をきっかけに私は彼女を意識するようになってしまう。

とはいえ、私はまだまだゲームを始めたばかりでレベルで言えば50にも満たない初心者で、愛梨はすでにレベル600をオーバーしたベテランプレイヤー。紗理奈の件をあっさりと解決させたことから、人脈の多さも窺える。私のような初心者プレイヤーには手が届く存在ではないのは誰の目にも明らかだ。

そんなある日のこと、牧場婚活にログインすると愛梨のアイコンにおかしなマークがついていることに気がつく。それは誰かからプロポーズされていますよというサインだった。頭が一瞬で真っ白になり、思考がうまくまとまらない。

愛梨にプロポーズしたのは一体どんな相手なんだ。知らないところで別の男性とイチャイチャしていたのかな、など、ありとあらゆる可能性に心が激しく痛んだ。なんだかゲームをやっているのも辛くなり、落ちようとしたところで、愛梨から普段通り和やかな書き込みが入る。

ズキズキと痛む心を悟らせないようになん言か会話をしていたが、愛梨は本当に普段通りでプロポーズされていると言うことを微塵にも感じさせない。もしかしたら気づいてないのか、それとも何か二人だけの約束があってそれを待っているのだろうか、考えれば考えるほど嫌な可能性は浮かんでくる。

夜中を通して語り合ったこともあるのに、プロポーズの話なんて何もしてくれないのは、正直かなりショックだった。薄々はわかってはいたが、その程度の関係という言葉を突きつけられたような気がして、思わず嫌味が口から零れてしまう。

「あ、あの、俺と話していると、相手が気を悪くするんじゃないのか?」
「え? 誰のことを言ってるの?」
「とぼけるなよ。プロポーズされてるだろ?」
「ああ、これね、これはね――」

愛梨から聞かされた話は、ビジネス結婚(ビジ婚)についての話だった。なんでもこの牧場婚活にはカップル専用のクエストがあり、それがなかなかいい報酬になっている。そのため、相手がいないプレイヤー同士で定期的に疑似の夫婦となり、そのカップルクエストに挑戦して報酬を獲得しているようだ。

「え、じゃあ、その人とは恋愛関係にはないってこと?」
「当たり前じゃない。だって、相手は女の子だよ。ただの友だち」

ケラケラと楽しげに笑う愛梨。そんな様子を見てホッと息が漏れる。よかったという気持ちが溢れてくるが、それと同時になんだか、納得がいかない気分にもさせられた。なんだろう、この気持ちは。自分の中でなにかわからないが、とにかくソワソワしてしまうあまり心地よくない不思議な気持ちだ。

「友だちが帰ってくるのが夜だから、その時間にあわせて結婚して、一気にクエストを終わらせるつもりなんだ」

牧場婚活では結婚をしても1週間以内に離婚をすれば、離婚歴が残ることはない。そのシステムを利用して、長く結婚していられるように結婚する時間を調整して行うようだ。離婚歴は付かないが、離婚後は数日結婚を行えない。つまり、今から約10日、愛梨は誰とも結婚できないことになる。いや、厳密には結婚しているわけだから、その考えもおかしいか。

楽しそうにビジ婚の話を続ける愛梨だったが、その話をどこか上の空で聞き流してしまう。なんだろうこのモヤモヤとした気持ちは。愛梨の行動はゲームシステム的になんの問題もないし、多くのプレイヤーがやっている当たり前のことだ。

「報酬をもらうためだけに結婚してクエストをクリアする」

頭ではわかっているが、気持ちが追いつかない。どうして自分だけがこんなに悩まなければならないのだろうかと、不可解さはだんだんと苛立ちに変わっていく。そして、どういうわけか思いついたのは、愛梨にも同じ気持ちになってもらおうというモノだった。

つまり、数は多くないが私もこの牧場婚活をしばらくやってきて、女のフレンドというモノもできてきた。そのフレンドに頼んでプロポーズをしてもらうことだった。もちろん、本当に結婚するわけではなく、愛梨にもなにか感じて欲しいのだ。私に少しでも気があるなら、何らかの反応を見せてくれるのではないだろうかと期待して。

プロポーズをしても、他の人にバレるシステムではないらしく、偽プロポーズのお願いは簡単に通った。しばらくしてフレからのインチキプロポーズが発動する。愛梨同様に私のアイコンにも矢が刺さる。プロポーズを受けているサインだ。

これで愛梨がなんらかのアクションを見せてくれる。そう思っていたが、思惑は大きく外れ、愛梨からプロポーズの話題が出ることなく時間だけが過ぎていく。このままでは愛梨が結婚してしまう。どうすればいいんだ。私は時間ともにどうしようもない焦燥感に駆られる。

私のプロポーズに愛梨は何も言ってくれないが、もう待ってはいられなかった。止めるなら今しかない。

「もうすぐ結婚だね。おめでとう」
「祝わないでよ。さっきも言ったけど、女の子の友だちとビジ婚だよ?」
「うん、それでも結婚するなら、おめでとうを言うべきだと思って」
「どうしたの? なんか変だよ?」

いきなり私の意味のわからない絡みに愛梨がひどく困惑しているのが窺える。だけど、ずっとボッチを守り通してきた、私のようなプレイヤーはこういう風にしか言えないのだ。もちろん、自分よりもレベルも何もかも上のプレイヤーに強気に出ることもできない。できることと言えば、妬みに近い嫌味だけ。

「とにかく、結婚おめでとう。俺は涙で枕を濡らして寝るよ」
「ちょ、ちょっと何を言ってるの? 意味わかんないよ、まさか私に結婚して欲しくないの?」
「うん。して欲しくない」
「……なんで? ただのビジ婚だよ?」
「それでもして欲しくない」
「だから、なんでって聞いてるんだよ? 邪魔する理由は?」
「わかんない。だけど、愛梨が他の相手と結婚するのが嫌なんだ」
「あのさぁ~、そんなプロポーズの矢が刺さったまま、人の結婚を邪魔するとか意味分かんないよ?」

そうだった。フレさんに頼んでいたプロポーズの矢が私にも刺さったままだった。愛梨は私のプロポーズに気づいていなかったわけではなかったのだ。それどころか、思いっきり気にしている様子。このままでは確かに説得力がまるでない。急いでフレに付き合ってくれた謝罪しをしてプロポーズを断る。

「断ってきた。これで邪魔してもいいよね?」
「……いいけど、理由は教えてくれないの?」
「だから、さっきも言ったけど、愛梨がビジ婚とは言え、他の人と結婚するのが嫌なの。それだけ」
「……もういい。わかった。結婚しない。それでいいんでしょ?」

文字の羅列でしかないのに、愛梨のがっかりとした感情が伝わってきたような気がした。私からの言葉を何か待っているような気がするが、それがなんだかわからない。私にできることは感謝と謝罪を伝えるだけだった。

「ごめん、でも、ありがとう」
「眠いから、もう寝るね」

愛梨は素っ気なくそう言って、あっさりと落ちてしまった。結婚の邪魔をしたことに思いっきり罪悪感が走る。自分勝手な理由で愛梨のゲームプレイを邪魔して、誰も得をしない展開を作り出してしまった。いや、厳密に言えば私は得をしたのが、今までよくしてくれた愛梨への裏切りにも思えてしまう。

何か償う方法はないかと、夜も遅い時間からたくさん考えた。そして、私は愛梨のプロフィールを開き、震える手でポチッとプロポーズボタンをタップする。昇る朝日の光を浴びながら、それはどんなものよりも清々しく感じられた。何かをやり遂げた気分だ。

プロポーズしたことで大満足していた私は、愛梨の気持ちなど考える余裕もなかった。ゲームの中とは言え、プロポーズを大事にしたいと思っている一人の女性の気持ちを知るには、この時の私ではまだまだ経験値不足だったのかもしれない。そのことを思い知るのは、翌日の愛梨からの返事を見てからになる。

次のエピソードへ続く >>

後書き

今振り返ってみても、ここでの言葉足らずは恥ずかしい限り。愛梨(仮名)が何を考えているのかは会話からでも明らかなのに、自分の事しか考えていなかった私はどうしても、その答えに辿り着くことはできなかった。このすれ違いがプロポーズにどんな影響を与えるのかは次回を楽しみに待っていて欲しい。

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