魔法少女たちの身体が入れ替わる。それぞれの悩みを体験しながら、違った悩みを抱えることになっていく。
公開:2020年10月10日 (最終更新:2020年11月20日)
5話:僕がアイドル!?
襲って来た悪魔を追い返し、二人を元に戻す方法を探るため、異世界の探索も続けられている。それでも日常は当然のように流れていき、とうとう、本番当日だ。控え室で出番を待っている間、マリアンヌの顔は真っ青になっていた。
依子が心配して声をかけると、挨拶をしに「後輩アイドル」が入ってきた。今日の出番はないが、近くに住んでいるので、依子の様子を見に来てくれたようだ。ところどころトゲのようなものを感じるが、依子を慕ってくれる良い後輩に見える。そんな後輩と話をしているといよいよ出番がやってきた。
身体はガッチガチで全く動かない。すでに曲のイントロも始まっており、踊り出してなければならないところだ。そんなマリアンヌを観客たちは訝しげに見ている。
依子に迷惑がかかると自分を奮い立たせて、マリアンヌはかろうじて声を出す。一度声を出してしまえば、気分が乗ってきて、身体も自然と動き出した。終わってみると、会場からは盛大な拍手が沸き起こる。今日一番の盛り上がりとなった。
翌日、ネットでは大絶賛されている。ぎこちなく踊っているマリアンヌの動画がアップされたり、好意的なコメントが多数寄せられていたり、大きな賑わいを見せていた。知名度も爆上がりしているらしい。嬉しい話のはずだが、依子を完璧なアイドルだと思っているマリアンヌは失敗してしまったことで、依子に恥をかかせたと顔を青くするのだった。
6話:合わない目線
文化祭ライブですっかり人気者となったマリアンヌは、テレビでもよく見かけるようになっていた。しかし、いつものカラオケルームにくると依子は浮かない顔をしている。そんなマリアンヌに依子は、このまま入れ替わったままの方が、お互いに幸せかもよ、なんて言葉をぶつけた。
依子は自分のことをマリアンヌと言い出す始末。戸惑うマリアンヌを置いて、依子はさっさとカラオケルームから立ち去っていく。依子は自分のお子様体型では絶対に着られなかったセクシーな服を着て、街に出てきた。誰もがみんな依子を見ている。
たくさんのナンパを受けて、嬉しい反面、面倒くさくなってきたところで、先日屋上であった先輩が助けてくれる。すっかり依子の入ったマリアンヌのことを気に入っているらしく、今度パーティやるから来て欲しいと誘われた。人脈を広げるパーティと言われて、二つ返事でOKする依子。ハロウィンにちなんだコスプレをするらしく、依子は「魔女」の格好していくことになった。
翌日、いつものカラオケルームに行くとマリアンヌに詰め寄られる。昨日、渋谷の街にセクシーな格好をして出掛けたことが、ネットにアップされていた写真からばれていた。
外見を綺麗だと思われたんだから、良かったじゃないかと依子はニヤケ顔で返事するが、マリアンヌはそんなことで有名になんかなりたくないと、今にも泣き出しそうだ。
さらに、マリアンヌがドジっ子アイドルとして売り出したんだから、依子は一生、その皮を被り続けなきゃいけなくなったと続ける。そして、この身体にいる間は、依子の好きにさせてもらうと言い切った。
二人の関係はもう限界が近そうだ。早く、元に戻す方法を探さなきゃいけない。ということで、オムニスはカミサマンに助けを求めることにした。
カミサマンからのアドバイスは意外なもの。身体が入れ替わっているわけじゃなく、別の黴体生物について話をされた。
7話:うちの名は。
カラオケルームを飛び出した依子を追いかけたマリアンヌだが、結局捕まえることはできず、家に帰ってきた。広島から上京してきた依子は一人暮らし。最初こそ、夜中までゲームしたり、マンガを読んでも怒られない気楽さを満喫していたが、だんだんと寂しさが募っていく。
今日はあの先輩と約束したパーティ当日。迎えに来た先輩と一緒にパーティ会場へ向かう。会場に着いた依子は、ハロウィン衣装に変身できる場所を探して変身する。
キレイキレイと言われて、最初は気分が良かった。だけど、色々な人に紹介されて話してみたが、みんなの視線は胸にばかりいって、ろくに話を聞いてもらえない。自分の話なんてまるで価値がないように思えて仕方なかった。疲れた身体を癒すためにソファーに座っていると、急にマリアンヌが乱入してくる。
驚いている依子の手を無理やりに引いて、全力疾走で会場を後にした。
勝手なことをされて怒りまくる依子に、マリアンヌは元に戻る方法を見つけたと言い出す。その前にきちんと話がしたかったらしい。
二人とも互いに、自分ではどうしてもうまくできないことを、相手があっさりとこなして僻んでいたようだ。僻みを抜きにして考えれば、答えなんて簡単だった。お互いにこれからも成長していこうという結論になり、二人は仲直りする。
あとは、身体を元に戻すため、あの異世界で見つけたお化けのような姿の悪魔を倒すだけだ。こちらも簡単な答えすぎて、依子は呆れた顔を見せた。
8話:なんたってアイドル
魔法少女たちの協力で、お化け姿をした黴体生物は短い呻き声を上げて、闇に溶けるように消えていく。カミサマンの言うことが本当であれば、時間が経てば二人の身体は元に戻るらしい。黴体生物の力で、身体がそれぞれの別人の姿に変化しただけで、厳密な入れ替わりではなかった。
翌朝、目を覚ますと、マリアンヌの身体は元に戻っていた。少しだけオシャレをするように気を使うようになったマリアンヌ。それだけでみんなの反応は大きく違っている。依子の身体も元に戻っていたが、マリアンヌの大きな胸がなくなったことが少し心残りのようだ。
EX:アイドルの覚悟
やはり、慣れないことは疲れるらしく、気がつけば元通りになっていたマリアンヌの髪型。そんなマリアンヌにセイラがストレートパーマを提案する。一方の依子も似たようなもので、ドジっ子アイドルはもうやめたらしい。その変わり、色々な番組に出て、様々なことにチャレンジして、新しい自分を目指していこうと決めたようだ。
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株式会社ステラ
「うちの名は。」の感想
身長も体型も環境もまったく違う依子とマリアンヌ。その二人が入れ替わり、自分にないモノを見て、自分の本当の価値に気がついていく話になっていた。そこから成長してどんな姿になっていくかと思ったら、結局は元通りというオチ。
まあ、人間ってそう簡単には変わらないよね。ということを実感させられた。何かを見て、変わったと思っても、その気持ちは二週間も継続しない。逆に二週間継続出来れば、新しい自分になれるのだろうか。なかなか難しい話だ。
今回の話は非常にまとまっていて、読みやすかった。いや、別に他のが読みにくいというわけじゃなく、今回のは特に読みやすかった気がする。なぜかと考えたら、絡んでくる魔法少女がかなり少なかったからだろう。十二人も魔法少女がいると一度は出さないといけないだろうし、考えることが色々と増えていくに違いない。それらを上手に使いながら、一つの物語に仕上げるのだから本当に尊敬する。この調子でどんどん面白いシナリオを作っていって欲しい。
そんな願いを込めてまた次回!
予告通りなら次回はりりとマリアンヌが活躍するらしい。どんな話になるのか、次回も見逃すな!
本ページにて使用されている画像はすべて『©Studio MGCM』に帰属。
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