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【かまいたちの夜 輪廻彩声】今さらvita版のかまいたちの夜で遊んでみた感想――

公開:2021年04月11日(最終更新:2021年10月01日)

みなさん、こんにちは。
空いた時間に昔のゲームで遊んでいるもりすかです。

「かまいたちの夜」をご存じだろうか。1994年11月25日にスーパーファミコンで発売され、選択肢で物語が変わっていくというサウンドノベルというジャンルを一気にメジャー化させたアドベンチャーゲームだ。舞台となったペンションには未だに、聖地巡礼で訪れる人もいるほど、根強いファンも多い。もちろん、私もその一人だ。

そんなかまいたちの夜は、PlayStation版でのリメイクを含め、様々なメディアにも顔を出している。ファンとして当然のようにその後を追ってきた。そんなかまいたちの夜マニアの私でさえも、プレイをずっと拒んできたのが、「かまいたちの夜 輪廻彩声」だ。

こちらはVita版として、2017年2月16日に発売され、すでに4年以上過ぎている。ファンなら当然、発売には手に入れ、猿のオナニーの如くゲームに励むべきなのだが、どうしてもそれができなかった。というのも、この作品における仕様変更が大きな要因だ。

かまいたちの夜といえば、実写を使い、人物はシルエットで表現され、想像力を最大限に引き出してきた。なのに今作では、それまでのファンを否定するかのようにアニメ調のイラストになり、キャラたちにも声優がついて、セリフを喋るようになってしまった。これでは想像力を発揮するのは難しいだろう。

声優がついてしゃべるようになったのは、メリットだと考える人もいるかもしれない。声優の素敵なボイスで囁かれるのはもちろん嬉しい。面白みが増すのも分かる。だけど、それに伴い主人公と恋人の名前も「透」と「真里」で固定になってしまったと言ったらどうだろうか。

声優がセリフをしゃべる以上、過去作のように自由に名前を変えらたら、呼び名の部分がおかしくなってしまう。という至極当然な判断だ。しかし、選択肢によって物語が変わって行く中で、意中の相手と愛を確かめ合ったり、殺人事件に巻きこまれて一緒に恐怖したりと、非リア充では絶対に味わえない環境を楽しめるのが「かまいたちの夜」の魅力でもある。

主人公には自分を含めた思い入れのある名前をつけたいし、決して「透」などいう安易な名前はつけたくない。もっと言うと、一緒に「シュプール」に訪れる素敵な恋人役も「真里」などではない。もっと神聖であり、甘酸っぱい思い出ある女性や彼女の名前をつけたいところだ。ここは譲れない。

自分の名前をつけて、恋人役には好きな相手の名前を入れるのは、紳士として当然のたしなみだ。生命線というべき主人公と恋人の名前を自由に変えられる部分を大きくカットし、他人の恋愛を無理やり見せつける形にしたのは、正直改悪だと言わずにはいられない。

このような理由から「劣化したかまいたちの夜なんかやってられるか!」という反骨精神が強く働き、気にはなりながらも今まで遊ぶことはなかった。だが、なんとなく時間を空いたので、本作をクソゲー認定しながらもプレイしてみたら、その評価がまったく違うものになってしまった。

否定的に始めたゲームではあったが、イラストと声優のイケボイスが見事にコラボし、気になっていた点なんてすぐに忘れ、あの懐かしいかまいたちの夜の世界に一気に引き込んでくれた。背筋に冷たいものが走るようなホラーゲームに近い恐怖を十分に堪能できた。

「やっぱ、かまいたちの夜は最高ですわ」と、必殺の手の平返しをさせていただこう。

というわけで今回は、ぼろくそ文句を言ってしまった「かまいたちの夜 輪廻彩声」へのお詫びを兼ねて、その魅力を紹介していく。

もしも、私と同じようにグラフィックや声優などの問題で遊んでいない人がいたら、この機会にぜひ考え直して欲しい。シルエット表示で名前を選べた過去作も良かったが、それに負けず劣らず名作に仕上がっているぞ!

シルエットじゃなきゃかまいたちの夜じゃない!?

人物のシルエット表示はかまいたちの夜の代名詞であり、「シルエット=かまいたちの夜」だと思っていた。それが今回はイラストへの変更。しかも、想像以上に可愛い系のイラストになってしまったことでアンチを生んでしまったのは間違いない。

さすがにこの2枚を見て、変化などないという人はいないだろう。完全に別のゲームになってしまっている。このせいで、私もかまいたちの夜の雰囲気が変わった、劣化してしまったとゲームを遊ぶ前は思っていた。

だけど、事件が始まるとその可愛い系のイラストが不思議とゲームにマッチしてくる。具体的なグラフィックになったことで、凄惨な殺人現場がダイレクトに表現されている。それまでの可愛らしいイラストからの繰り出される悲惨な殺人現場は思わず息を呑んでしまう。まさに可愛さが恐怖のエッセンスになっている。

これも全て原画さんの実力だろう。原画を担当しているのは、「車輪の国、向日葵の少女」や「G線上の魔王」などの名作の原画も担当した女性キャラクターデザイナーの「有葉(あるふぁ)」だ。もはや名作請負人と言っても過言ではないだろう。

ネタバレになるが、特に恋人役である真理が死ぬところなど、かなりきつい表現がされている。グロ耐性が低い人には夢に出てくるかもしれない。なかなか厳しいビジュアルだ。

イラスト仕上げになり、シルエットで決して味わえない恐怖も体験できる。イラストになって決してマイナスではない。終盤になるとむしろこのグロ画像が癖になってしまった……

たくさんの追加ストーリーが収録されている

かまいたちの夜はスーファミで発売されてから今まで、PlayStation版や小説版など様々なメディアミックスを重ねている。スーファミ版では遊べなかったシナリオ「辺獄の真理編」や「A Novel」も収録された。

スキップ機能をうまく使い、迷うことなくクリアしたが最終形の「金のしおり」を手に入れるまで16時間ほどかかった。スーファミやPlayStation版のかまいたちの夜を完全制覇したプレイヤーでも、vita版のボリュームに絶対、満足できるだろう。

それに遊んでみて思ったが、そもそも大まかな流れは覚えていても、細かいところは忘れている。すでに遊び尽くしたであろう「スパイ編」や「オカルト編」も、新しい気分で楽しめるに違いない。やっぱりもとが良いだけに、どれだけ時が過ぎても、決して色あせない面白さが此処にあった。何度も言うようだが、とにかくかまいたちの夜は面白い。

そして1番大事なイベント「ちょっとエッチなかまいたちの夜」は、ストーリー的には過去作と同じで、ビジュアルがなくなり音声だけになったが、声優がセクシーに演じてくれる分、エロさは凄まじい。深夜に聴いてしまい、悶々とした妄想を掻き立てられ、眠れなくなってしまったほどだ。

最後までぜひ完走して欲して、このエロさを体験して欲しい。

システムまわりについて

かまいたちの夜の本編はフローチャートが完璧に仕上がっており、選んでない選択肢も見つけやすい。反面、追加されたものなどはフローチャートの作りが甘く、すべての選択肢を選ぶのがかなり困難になっている。特にそれが顕著になっているのが「真理の探偵物語」だ。

途中で4つの選択肢があり、選んだものに対して、また新しい3つの選択肢、そして、それに対しても、また2つの選択肢が出てくる。それらの組み合わせを全て選ばないと、選択肢のコンプができないので、すべての選択肢を選ぶのはかなり大変になる。展開も変わらないことだし、ここら辺はもう少しどうにかして欲しかった。

とはいえ、シーン毎に達成率が表示されており、全てのシーンで達成率を100%にしようと思わなければ、上記の問題は気にならない。

むしろ抜けている部分がなんなのか大体の想像もつくため、金のしおりはかなり達成しやすくなっている。すでに謎解きを終えているプレイヤーなら、犯人あての「はるこ」以外は、全てのエンディングを見るのにそれほど苦労はしないだろう。逆に言うと「はるこ」の部分はかなり苦労するが……

まあ、今回の話がヒントになれば幸いだ。

まとめ

アニメ調の絵になり、声優も加わったことで、かまいたちの雰囲気が壊れると厳しい判定を下す人もいるが、遊んでみるとそれほど気になるものではない。むしろ、キャラの名前が固定され、声が追加されたことで、新しい気分で楽しめるので、導入部分の違和感さえクリアできれば、遊び尽くした人にとってもプラスになるだろう。

「食わず嫌い」は良くないというように、本当に見た目と評判に惑わされて今まで遊ばなかったこと後悔するほど、プレイ後の満足感は大きい。もしも「かまいたちの夜」をやったことがないなら、ぜひ今作「かまいたちの夜 輪廻彩声」を遊んでみて欲しい。

そして、すでにかまいたちの夜を遊び尽くした人も、新しい気分で遊べる「かまいたちの夜 輪廻彩声」がおすすめだ。きっとまた、あなたを「かまいたちの夜 」のディープな世界に導いてくれるはずだ。

ちなみに遊び終わって気がついたのだが、2018年2月23日にwindow版も出ており、2018年11月30日にはDMM.comでも配信が開始されていた。パソコンでも遊べるようになっているので、vitaを持っていない人でも「かまいたちの夜 輪廻彩声」をプレイできるぞ!

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